いつも使っている言語は主語S+述語VによるSV言語。何気なく使っている言語は無意識で便利だと思っています。その便利さに気付いてもいないし、実は現代となってしまっては問題の方が目に付くハズですがこれにも気付いていません。
本日のテーマは、「日常使うSV言語」です。
1.SV言語とは何か?
いつも使っているだけに改めて問われると分からないものです。また、一般的に扱われている表現でもないために、確認がてらSV言語について深めてみたいと思います。
1.1.S主語+V述語
SV言語のSは主語で、Vは述語といいます。これは簡単な例文だとよく分かると思います。
“花が咲く”
“花が”が主語S、”咲く”が述語Vとなります。
“雨が降る”
“雨が”が主語S、”降る”が述語Vとなります。
主に、主語Sは働きの主体となる部位で述語Vにかかり、述語Vは主体の働きを現わす部位で主語Sを受けます。
1.2.文型に見るSV
英語で5文型を習いました。
SVOCで表した文の構造です。
SV(第1文型)
SVC(第2文型)
SVO(第3文型)
SVOO(第4文型)
SVOC(第5文型)
お気づきかと思いますが、構造はどれを取っても主語Sと述語Vが入っており、SVを除くと文としては成り立たないものになります。
日本語であっても英語であっても、言語としてSVが欠かせないものであり、意識することはなくてもいつも使っています。
2.便利なSV言語
SV言語は便利です。そうでなくては全員が全員、使うことはないでしょう。便利だから使います。
2.1.単語からSV言語へ
初めは単語だけがありました。
“花”
“雨”
これらは主に名詞で後の主語になります。この単語だけがあった場合、それを連呼されたらどうでしょうか?
“花”
“花”
“花”
“雨”
“雨”
“雨”
あなたにとって。
何が分かりますか?
花は咲いているのかも知れませんが、枯れているのかも知れません。
雨は降っているかも知れませんが、降り止んだのかも知れません。
主に、動詞を連呼したらどうでしょう?
“咲く”
“咲く”
“咲く”
“降る”
“降る”
“降る”
何が?
と思いませんか?
タンポポが咲くのかも知れませんが、チューリップが咲くのかも知れません。
雨が降るのかも知れませんが、雪が降るのかも知れません。
このように、主語Sには述語Vが、そして述語Vには主語Sが、それぞれ対応してSV一体となるとき、事情がよく分かります。
2.2.文章化する便利さ
単文としてのSV言語。それは複数あると、やがては文脈となっていきます。
“雨が降る”
“雪がちらつく”
“氷が解ける”
“川が流れる”
“海が蒸発する”
“雲が集まる”
“雨が降る”
これら一つひとつは単文ですが、文脈にもなり得ます。
“雨が降って雪となり、雪がちらつき氷となり、氷が解けて川となり、川が流れて海となり、海が蒸発して雲となり、雲が集まって雨となり、、、”
となればこれはもう列記とした文脈ある文章です。文章化する方が、人間にとっては便利です。
社会で生きていく上で。
文明の庇護を受けるにも。
2.3.理解の良き道具
単語だけのとき。
比較するとSV言語は便利です。
“雨が降る”
主語Sである主体が、どのように運動する述語Vであるのか。主体(雨)の運動(降る)が分かります。
そして前節2.2.に紹介したように、文脈のある文章にもなると、主体のより複雑な動きが分かり、その主体とは別の対象との関係までが分かることがあります。
雨が降って雪となる…など。
“雨”という言語によって、その何かは雨となり、その雨が”降る”という言語によって雨は、空から地上へ降り落ちてきます。
言語によって可能になったこと。
それが理解です。
20種類くらいいた他の人類仲間の誰も、ホモサピエンスほど言語を巧みに扱いませんでした。
理解が弱いまま、絶滅します。
ホモサピエンスは理解に強い。
SV言語は理解の良き道具でした。
2.4.意思疎通の良き道具
2.1.で紹介したように”雨”を連呼されていかがでしたか?何が分かりましたか?
SV言語の開発は原始人。
原始時代を思い起こしましょう。
毒蛇がゆっくりと迫りくる
蠍がこちらを向いている
そんな中で”蛇”や”蠍”を連呼されても分かることは少ないです。それよりも、
“蛇が来る”
“蠍がいる”
と言ってもらえたら、分かることが増えます。言語は理解の良き道具でしたが、SVを重ねて文脈にしてもらえたら、他者に表現した際に、他者が理解してくれます。
“蛇が来るから、あなたはこちらに来て”
“蠍がいるから、あなたは気を付けてね”
とでもいえば、意思表明にもなり意思伝達が行われるかも知れません。そして、より良い理解と、より良い文脈があれば、トラを狩ってトラを食べることすらできるようになります。
10人が一致団結する。
トラ一匹は狩られる。
SV言語は意思疎通の良き道具でした。
3.環境(存在)→感覚→言語
海とお魚の話があります。
他の記事もご参照ください。
環境(存在)という海があって、その海で誕生したお魚として感覚が宿ります。
赤ちゃんとして生まれてきたときは既に両親がいて家庭があって、町があって。生まれた瞬間はまだ、赤ちゃんの視覚は十分ではなく目に見えるものがないと言いますが、5感が養われてくると見える世界が広がります。
5感である感覚は環境(存在)のあと。
そのように5感に続くのが言語です。
あなたは5感が養われて直ぐに言語を理解したり話したりしましたか?
5感(感覚)の海があって、その海で誕生したお魚として言語が宿りますね。
人は誰もが皆んな自然にこう思います。
環境(存在)があって、感覚があって、言語がある、と。言語は、生まれた環境(存在)によって後から付いてくるものですから、どんな環境(存在)で生まれたのかはとても重要な意味合いをもつかも知れません。
4.協力団結。ホモサピエンスの良き道具
人類歴史800万年の間で20種類ほどいた人類仲間がホモサピエンスのみとなってから数万年。
ホモサピエンスが
“動物とは違う”
と宣言することができたのもSV言語の恩恵です。この恩恵が生かされている大きな一つ。
それが協力団結。
トラに食べられた10人がいます。
トラを食べた10人もいます。
両者の違いこそ協力団結ができなかった10人なのか、協力団結ができた10人なのか、でした。
トラには、トラらしい動きがあります。そのトラの動きを正確に捉えることができたら、実はトラの弱点が見えてきます。
トラの弱点を見るのが…
1人なのか
10人なのか
これは大きな違いです。
10人が1体となり、トラに対峙する。これを果たす大きな役割が、SV言語でした。SV言語が理解の良き道具であり、意思疎通の良き道具であるので、それが発揮されることでトラの動きをパターン化させて、やがては狩りに成功するのです。
トラ以外にも、ライオンやクマやオオカミ、それから蛇や蠍など、SV言語を駆使することで動物の動きを見切る集団ができあがっていきます。
やがては狩猟採集の卒業し、
農業を行えるほどにまで。
そうして国家が誕生し、文明社会の胎動へとつながっていきます。
5.SV言語。文明社会に欠かせない
今やSV言語は当たり前。
文明社会に欠かせません。
情報のインプットとアウトプットを繰り返すことで、その繋がりは別モノへと化けていきます。
情報
論理
知識
理論
学問
技術
商品
職業
産業
文化
文明
歴史
SV言語によって情報~文明それから歴史が築き上がる経緯がホモサピエンスにはありましたから、そんな私たちにとってSV言語が欠かせないのは当然です。
文明歴史の根幹。
普段は意識しないほどに無意識ですが、確実にSV言語は至るところに組み込まれていて、知識であっても、学問であっても、技術であっても、どこを捉えても開いて詳しく見てみたら必ずSV言語が現れてきます。
今や文明社会、文明歴史には欠かせない。
それがSV言語です。
如何でしたでしょうか?
本日は、テーマ「日常使うSV言語」に沿って書いてみましたが、普段は意識しないことも多かったのではないかと思います。
そんな無意識だからこそ。
それがまた日常なんだと言えるのかなと島崎は書きながらにして再確認しました。
後日になりますが、そんな当たり前すぎるSV言語には実は重要な欠陥があったことについて触れたいと思います。あなたも是非、SV言語の問題点について想いを巡らせてみて下さい。
SV言語の問題が明らかになることで、五大危機にどう向き合っていけるのか、そして五大危機に向き合っている人たちとの語らいが始まります。国際カンファレンスもあります。ぜひ、触れてみて下さい。
https://www.dignity2.org/2022/
2022年Dignity2.0国際カンファレンス
お読みくださってありがとうございました。宜しかったら別の記事もお読みください。
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